出すぎる釘は叩かれる

勘違いして居る政府機関

銀座でも超が付く一流の料亭だが、ただならぬ緊張した空気に覆われている。
働いているのは、女性従業員が多く和服で仕事をしており笑みも少なく、緊張気味に足早で行動している。

 

料亭の、敷地内の屋内だけでなく手入れの行き届いた庭園の暗がりににも、ダークな服装の警備スタッフが潜んでいる。料亭側も、警備に何人いるのか知らされていないし、紹介も無かったので薄気味悪く感じるが、誰にも相談できない状態のまま時計が進んでいる。

 

建物は3階まで座敷が有るが、全館貸し切り状態で警備スタッフがチェックし異常はみつからず、それでも各階に4~5人が残り、階段脇や窓の外に体を溶け込ませている。

内閣官房のゴリ押し

5日前の先週末
「内閣官房だが、ご主人はいらっしゃいますか?」と、事務的な電話が入った。何だろうと居住まいを直しながら、受話器を取った
「はいっ やまがみです」とかしこまって挨拶すると
「水曜日、〇〇国の大統領がお宅の寿司を食べたいと言うので、予約したいのだが良いですね」と高飛車な物言いだった。

大国の大統領の晩餐に、4~5日の日程で用意出来るわけもなく、当主は当然丁重に断ったが
「何で政府の言う事を聞け無いのですか!」と声高に脅すのだった。当主も仕方なく、最後の抵抗で、失敗時の事を念押しをした。
「何か不祥事が発生して場合、責任は取って頂けますか?」と、開き直ったら

「当然だ、国家の行事だからそのつもりで準備して欲しい」と自信あり気な物言いで、現状の内閣官房のの横暴ぶりでは、どんな仕返しが有るか不安なので受けた。
本来なら、名誉なことで予算そっちのけで準備に取り掛かるところだが、今回は気がかりが多すぎる。

銀座の街裏で突貫準備

その日から、植木の手入れから要所に監視カメラの取り付けやら、電話回線の増設や大騒ぎで深夜まで働き、全員が寝不足で当日を迎えたらしい。皆んなへとへとだが、当日の午後2時ごろに、全体の工事や掃除が終わり関係者が引き上げたばかりだ。
お店の男衆から、女将以下全員で隅々までチェックし、ほっとすると警視庁の警備担当が20人位でゾロゾロ入ってきた。

警備のスタッフも、その後2時間位かけて全館のチェックを終わったのが1時間前だ。こっちも後2~3時間の警備業務なので、頑張っているようだ。初冬の日没は、5時前には薄暗くなり都心では珍しい広い敷地の料亭は、外灯も少なく出入り口の認証も神経を使う。

首相の到着

不遜な振る舞い

そんな中、首相一行が先行で到着し、それからはざわざついた雰囲気で料亭の空気が緩んだ気配がした。

大統領が、迎賓館を出発したと、外の警備の指揮官にも着信、15分位は掛かることを警備陣に通知し、外回りが一層緊張感をもった。

到着した首相も、女将や当主から挨拶を受け
「お茶にしますか?ビールにしますか?」と聞かれ
「コーラにしてください」とリクエストし、周りが『えっ~』と言って慌てさせる一幕があった。

首相が、玄関わきの広間で腰をおろしコーラを口にして
「トイレをお借りします」と言うので、女将が後ろを振りむき
「Tさん、ご案内して」と言うと、中年の仲居さんが前に出て
「ご案内したします」と深々と頭を下げた。

仲居さんを先頭に、何人かスタッフが続いて歩きかけたが、首相が
「トイレに行くだけだよ」と言って、男性のSPは残し女性SPに頷き仲居の後に続く。廊下を曲がって、案内の仲居さんが和室の入り口のような、引き戸を少し開け
「こちらです」と言いながら、男子トイレの前で会釈をした。

SPも、入り口に背を向けて姿勢を正して立つ。首相は、照れくさいのか
「有難う君たちも良いから戻って居なさい」と、ドアを開けかけた。

軽薄な行動

「おう ここは広いなぁ」と入り掛けたが、又顔を出して
「すぐ戻るから、戻って良いよ」と再度言うから、二人は顔を見合せ乍らSPが廊下の奥を見ると、警備が一人顔を出し右手の親指を立てた。後ろの曲がり角にも、さっきは居なかった警備が一人、こっちも右手の親指を立てた。両方を確認したSPと仲居が
「失礼します」と廊下を虐戻りした。

廊下の端の階段脇でも、警備のスタッフが顔を出して少し顎を引き了解したサインだ。

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